中医学は、心身全体のバランスを考えて、そして人体と自然とのバランスをも考えることを重視します。
中医学では、ある1つの現象を考えるとき、その部分だけの問題としてみるのではなく、まず全体から考えます。そして全体をみたあとで部分を考えます。この全体として捉える考え方のことを整体観(せいたいかん)、あるいは全体観といわれます。
この全体観に基づいて、中医学では人間のからだは多くの組織や臓腑が密接に関連しながら形成される1つの有機体と考えています。その人間は自然の中で生活しています。人間も自然界の一員です。ですから、からだを考えるときは、からだの内部を全体観からみるだけにとどまらず、人間を取り囲む自然も含めて1つの統一体と考えます。
個人の体は自然界から様々な環境的な要素の影響を受けながら絶えず変化しています。こうした状態がまさに生命活動であり、人体が自然界の影響をうけバランスを取りながら平衡を保つ状態を整体性(せいたいせい)といいます。このバランスが崩れると病気の原因になると考えることから、治療するときは常に人体と自然界の関係を一緒に考えて、全体のバランスを調えることを重視しています。