万能に使えるわけではないと理解するとよいでしょう。
カゼのひきはじめの時に、葛根湯を飲んでよくなったという人は多いと思います。葛根湯は、からだを温めて発汗を促します。確かにカゼのひきはじめで強い悪寒があり、発熱しても汗がでない人にはよく効く薬です。
でも、同じカゼのひきはじめの時に全員が同じ症状を訴えるわけではありません。中には、悪寒はそれほど強くないけれど、熱が高く汗をかいたり喉の痛みを訴える人もいます。
漢方では、こうした微妙な症状の違いを診て適応する漢方薬を決定します。カゼは大きく分けると、冷えの病邪によるカゼと熱の病邪によるカゼがあります。
葛根湯はからだを温める作用をもつので、冷えによる強い悪寒のカゼを治します。冷えとは逆に、熱による高熱や喉の痛みなど生じるカゼに、葛根湯では治りません。
この熱タイプのカゼには、熱を冷ます作用をもつ天津感冒片(てんしんかんぼうへん)という漢方薬を使います。ですから、カゼの初期には葛根湯が適応するタイプがあるものの、万能に使えるわけではないと理解するとよいでしょう。